特集 くすりと健康
薬局と地域保健
清水 藤太郎
1
1東邦大学
pp.83-85
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204954
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なるほど私は大正の初年からこの問題に取り組んでいるが,米寿とかいう老齢になっても,今もってその志向が完成しない.なるほど薬局は今は全国に散在し,大学卒業の身で簡単に紹介者もなく民衆に接し,週に一,二回,家族の誰れかが薬局に行って,くすりや化粧品のアドバイスを受けている.そのアドバイスに金はいらない.すなわち薬局は,その地域の健康保持に重要な役わりを果たしている.
薬は昔は,民衆が,山に狩りし,海に漁る間に,多くの草根木皮が病の治療に役だつ,特にある病にはある草木が効あることを発見して,それを不時の用に供するため貯えた,その貯えた所を,ギリシャ語でアポテケ(離れて置く所)といった.これがいずれの国においても匿者とは別に,専門に薬を収集,販売する「くすりや」となった.
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