特集 保健婦がしばしば使う用語を考える—住民参加・住民主体
「住民参加」という“はやり言葉”について考える
前田 秀雄
1
1東京都清瀬保健相談所
pp.1081-1084
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900838
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住民参加の大安売り
最近のはやり言葉に「住民参加」というものがある。「住民の参加が得られた」「住民が主体的に参加した」と美辞麗句として用いられる。ただし,その実態はさまざまで,例えば,健康フェスティバルとやらの出店に客が集まれば,多数の住民が参加したと言い,また,町会長さんたちに無理無理お集まりいただいて懇談会を開催しても,これを住民参加と言う。確かに,「私たちの健康を(of the people),私たちの手で(by the people),私たちにとってより良いものに(for the people)」と,民主主義の原理に則った形で公衆衛生活動が展開されるためには,住民参加は不可欠であり,これを重視することはたいへん結構なことであるけれども,あまり大安売りすると価値が下がる。
そこで,「住民参加」という用語の効果的な使い方にっいて検討してみたい。
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