特集 公衆衛生はどう変わるか—保健所法改定を機に
「地域保健の総合的見直し」と保健所法改正
伊藤 雅治
1
1厚生省健康政策局計画課
pp.842-847
発行日 1993年10月25日
Published Date 1993/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900776
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はじめに
世界でも例を見ないスピードで進むわが国の高齢化に対し,厚生行政の多くの部門で新たな対応がなされている。年金制度改正をはじめ,福祉の分野では平成2年の福祉関係八法の改正により,平成5年度から老人福祉や身体障害者福祉等基本的福祉サービスは市町村が責任をもって実施することとなった。医療の分野でも,昨年の第二次医療法改正による医療提供施設の機能分化など21世紀を念頭においた制度改正が動き出している。
公衆衛生や保健サービスの分野はどうであろうか。昭和22年に制定された現行保健所法による地方の公衆衛生行政の枠組みは,昭和43年の基幹保健所構想,昭和47年の「保健所問題懇談会基調報告」,平成元年の「地域保健将来構想報告書」など何回か保健所見直しの検討が行われてきたが,基本的には戦後構築された枠組みを維持してきた。保健所法制定当時と現在では,人口の高齢化,疾病構造の変化,保健サービスに対するニーズの多様化など地域保健をめぐる背景が大きく変化した。
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