論稿
保健所改革試論—保健所法空洞化の反省
小栗 史朗
1
1名古屋市千種保健所
pp.233-235
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204987
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1.はじめに
今年1月,名古屋市は3年間の短期計画を発表したが,その施策の推進のためには,「憲法を守り,平和で安定した市民生活を保障し,民主主義を実現する市政が確立される必要があり」そのためには,「これまでの経済中心のまちづくりを反省し,生活優先,弱者優先,社会的公正の原則を中心にすえる」と,市長は宣言した.財政制約のため,この理念は,直接的・全面的に具体化しがたい状況にあるが,この施策化は,たんなる一都市の特殊性ではなくて,全国の自治体の共通の課題であり,また岐路に立つ全国保健所にとっても同様である.
47年の保健所問題懇談会基調報告は,その岐路に立っている事態を認め,ひとつの方向を示しはしたが,情勢の評価と保健所改革の方向と方法については,一般的合意はなお成立していない.この点については,日本公衆衛生学会理事長須川豊氏の言明通りである(第33回同学会総合シンポジウム:保健所再編成と住民の求める衛生行政).
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