特別寄稿
事業所歯科保健活動—個人の視点から地域の視点へつなげた展開へ
間宮 ゆかる
1
1(財)サンスター歯科保健振興財団
pp.217-222
発行日 1993年3月10日
Published Date 1993/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900661
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事業所での成人歯科保健活動について
事業所の従業員は勤務の関係上,保健所などを訪れ歯科健診・保健相談を受けることができにくい人々である。また,歯科疾患が進行し治療などを受ける必要があっても,勤務を休んだり休日を利用して受けるため,なかなか歯科医院に継続して通院できにくい人々である。そのことから考えるならば,事業所の従業員は就業していない人々に比べ,保健所や歯科医院などから見ると手が届きにくく,歯科保健知識や歯科治療が及びにくい層と思われる。
また,事業所の従業員の年齢は,主に18〜60歳である。生涯を通じた歯科保健医療から見れば,この成人時代の約40年間をその人がどう過ごすかが,退職後の老年時代の差(例えば健全歯数や保存・補綴状況・欠損歯数などの口腔状況の差,食べにくい・話しづらいなど生活面での差)になるのではないか。これらのことを考え併せると,事業所の従業員の歯科健診・保健相談は大切な場であろう。したがって,生涯を通じた歯科保健活動の視点からいえば,事業所という場での歯科保健活動は,成人歯科保健活動分野の中の一部としての事業所歯科保健活動となるだろう。
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