特集 地区担当と業務担当
他職種の評価
コミュニティ・オーガナイザーとしての保健所保健婦
牧野 由美子
1
1島根県出雲保健所
pp.462-463
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900506
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島根県における保健所保健婦への期待
身近な例から考えてみよう。島根県の保健所保健婦は地区担当制,もっと正確に言えば市町村担当制をとっている。例外もあるが,原則的には1人の保健婦が1市町村を,1つの地方自治体を担当しているということである。その中で保健婦はいつも,「あなたの担当の市町村の当面の(公衆衛生活動の)課題はなんですか」ということを問われ続けている。実際には,次年度事業に向けての検討の中で保健所としてそれぞれの市町村との1年間の共同事業の目的,スケジュール,関与するスタッフ等,が明確にされる。つまり,それぞれの地方自治体の公衆衛生の課題を常に明らかにし,これに対する保健所の取り組み方を整理しようとする一連の過程である。
この流れの中で市町村を担当している保健所保健婦の役割は大きい。まさに市町村へ向けた保健所の窓口であり,パイプである。保健婦は単に市町村の保健課題を保健所に持ち帰るだけではない。市町村長の最近の関心事,担当課のスタッフの状況,議会質問で問題となっていること,住民組織で問題となっていること,果ては,市町村の労働組合が問題として取り上げていることまで,関連事項で耳にはいることはなんでも持ち帰る。それぞれの中で対応の必要な事項は保健所で協議し,必要な取り組みを進める。これが地域の実態に即した保健所活動展開の出発点となっている。
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