連載 ケーススタディ—アルコール依存症への理解と援助・3
あるアルコール依存症者と家族
遠藤 厚子
1
1東京都世田谷区玉川保健所
pp.1105-1111
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900392
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はじめに
アルコール依存症は,対人関係の病であり家族病であると言われる。これは,ある一家を通してそのことを痛感させられたケースの紹介である。家族も本人もそうとは意識しないで行なっている行動が,巻込み・巻込まれをあらわにし,回復のために関わっている私たちまでがその中に取り込まれていたのに気づかされる。
対人関係を病み,依存することを症状として持つ人が,依存されることに慣れた人と一緒に生活する場であるから,家族という枠の中で“病”は加速度的に進行していく。この家族という枠組みに,直接,介入を試みたのが,ファミリー・セッションである。実際には医師2名と保健婦2名,その他社会学者などがチームを組んで当たったセッションに参加したのだが,このケースは私にとって最初の,そして最も忘れがたいアルコール・ケースである。
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