特集 地域における疾病管理と保健婦活動—感染症を中心として
成人T細胞白血病(ATL)と母子感染の予防
多田 裕
1
1東邦大学医学部新生児学教室
pp.702-706
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900303
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はじめに
白血病の中に中年以降に発症する特殊なタイプの疾患があり,これは我国に多く,しかも九州や沖縄など限られた地域の出身者に多いことから研究が進められ,成人T細胞白血病(ATL)と名付けられ,その病原となるウイルスも明らかになった。
この疾患はウイルスが人間の悪性腫瘍の原因になることが証明された最初の疾患であり,しかも我国で発見され,研究が進み病因も我国で明らかになった注目すべき疾患である。この原因となるウイルスは,健康に生活している人の中にもキャリアとしてこれを持っている人が多く,その人たちの中から頻度は少ないが,ATLを発症してくることが明らかになっている。
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