研究
小児特別相談からみた保健所の機能についての一考察
柴 静枝
1
,
豊田 千代子
2
1川崎市多摩保健所
2川崎市ガン検診センター
pp.641-653
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900291
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はじめに
医療の専門分化が進み,個々のニーズに適合した形での総合的な医療が受けにくくなっている現在,疾病が疑われる児,発育や発達上の問題を有する児およびその親たちが地域の中で,より健康的に生活ができるような支援が必要とされている。一方,育児を取り巻く環境は,近隣との付き合いが薄く母親たちが孤立化しやすい傾向となってきている(川崎市が昭和62年に行なった都市母子保健問題研究調査では,3か月児をもつ家族の86.1%が核家族で,25.3%は近所に気軽に声をかける知り合いがいない。居住歴は初妊婦では3年未満の者が82.6%,1年未満の者は44.4%と居住歴の浅い者が多いという結果であった)。
川崎市では乳幼児健診のフォローの場として,小児特別相談を実施している。保健所業務の見直しが提唱されている今日,小児特別相談のあり方をその利用状況より検討し,保健所の担うべき役割について再考する機会としたい。
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