連載 アルコール依存症の治療と援助・3(最終回)
セルフ・ヘルプ・グループと保健婦活動—保健婦の役割を問う
徳永 雅子
1
1東京都世田谷区玉川保健所
pp.237-245
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900211
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はじめに
バスがアイシス・オアシスの研修所に着いたとき,私はアメリカのアルコール症治療研修旅行に参加したことを少し後悔した。ここで私自身がクライエントになって自分の治療を受けなければならないなんて,恥ずかしくて出来ないと思った。スタッフに自分自身の治療が何故必要なのか理解しても行動するには勇気がいる。私はそんなにオープンな性格ではないし,自分の「何が問題」で「どうしたい」かもわからないと思っていた。でもレトリート・ワークショップ(サイコドラマ等)では,思いがけないことが起こった。
今回,そのレトリートの体験や今までのミーティング参加で感じたことなどを総括してはどうか,という依頼を受けた。旅行を終えてしばらくは興奮冷めやらず,感動の余韻も残っていたので,自分でもまとめをしておきたいと思い承知した。しかし,今になると大変後悔している。どこまで正直に自分を語れるのか疑問であり不安である。でも誠実に自分をみつめなければならないだろう。アルコール問題に関わっている保健婦として,20年余りの看護の仕事で厚くなっている私の防衛反応の垢を落とすために。そして,ありのままの自分をもっと自由に表現できるようになるために。
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