特集 「行政ウーマン」としての保健婦
行政現場で働く保健婦への提言
1人でできることは限られている
髙木 寛治
1
1岡山県公衆衛生課
pp.742-744
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207810
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1."保健夫"になりたい
私の意識下には,ずっと保健婦に対する羨望感があったように思う。県の行政組織に身を置くようになって,すでに私も20年目(2つの保健所で9年間,現職11年目)を迎えているのに,ときに,公衆衛生医としてまだ本物になっていないのではないかという気持が頭をもたげることと関係があるような気がする。これらは,どうも公衆衛生についての十分な系統的教育の有無に根ざしているようである。教育密度の濃さと学生の真剣な学習意欲により,保健婦養成の学校の1年間は,一般の大学の優に2〜3年間分にも匹敵するという声を外部の講師などからしばしば聞く。これに比べて,保健所に入ってくる医師をはじめとした技術職種には,類似の教育システムが欠けているので,「公衆衛生」に対する認識と実践力は,どうしても見劣りせざるを得ない。われわれが保健婦のレベルに達するには,相当の自己研鑚と現場教育が必要である。
かけ出しの小児科医として,いくつかの保健所の乳幼児健診の手伝いに大学から派遣され,はじめて保健婦を識ることとなったが,そのきびきびとした自信に満ちた明るい仕事ぶりを素晴らしいと感じた。
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