特集 精神保健活動の評価
学校における予防活動の評価
飯田 澄美子
1
1聖路加看護大学
pp.536-542
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207769
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I.精神衛生とは
精神衛生とは,一般的に,広く,精神の健康ということを意味している。精神の健康とは何かといわれても,心の機能は現象として存在しており,それを客観化することは,難しい。また,健康,不健康を判断することも,時代の価値観が入り,ものの考え方,感じ方,行動のしかたなどが異なってくるため,すべての人々に納得できる定義はなかなかみあたらない。
社会精神医学者であるマッサーマン(Masserman JH)が精神衛生の広い範囲の定義について力動的精神医学の立場から,述べているので,ここに紹介したい。「精神衛生という言葉には,いろいろな意味が含まれているが,本質的には,一人ひとりの人間が,葛藤とか適応障害を回避することができ,個人の最大限の幸せと社会的な創造性および有用性を十分に達成できるようにするための思考と行動の科学および技術である。それゆえに,精神衛生は,子どもの正しい養育,青年期の適切な発達(予防精神医学),職業選択,夫婦間の調停や社会的順応の指導,そして失望・失職・病気・加齢およびその他の身体的実験的外傷によって生ずるストレスの対応に対して,適切かつ弾力性のあるレパートリーを身につけておくこと,など,いろいろな領域を取り扱うものである」と定義している。
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