本を読む
―久常 節子著―「健診結果からの出発—成人病予防のための集団学習」
岩貞 香
1
,
久常 節子
2
1高知県土佐山田保健所
2国立公衆衛生院衛生看護学部
pp.1118-1119
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207666
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読んで,体験してなお一層,この本の重さを感じる
『成人病健診の検査項目も増え,健診そのものは充実してきたように見えるが,住民自身のものになっているだろうか』と,冒頭からの鋭い問いかけに,まるで自分の仕事を見透されたようでした。毎年,山と積まれて返ってきた健診結果を前に,どう住民に返していけば良いか迷っているうち,名案も浮ばぬまま,結局,報告会に集まってもらって個別に説明をしたり,説明文を加えて通知したりと,いつもの方法で返し終え,ほっとしたとたん,「これで良かったのか」と不安に襲われます。
『健診をその場限りで終わらせてはいけない』,『その後のフォローが大切だ』,『疾病の早期発見の目的ばかりでなく,住民が自分の健康を守るためのものとして返していく必要がある』と考えてはいても,現実は思うようには行きません。幾度となく住民にせまりきれないもどかしさを感じ,最後には「住民が問題意識を持とうとしない」と逃げてしまいます。
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