特集 保健婦の仕事を考える
第20回自治体に働く保健婦のつどい集録
地区別つどい報告
pp.684-693
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207575
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<要旨>
基調報告――北海道は日本経済の矛盾の縮図で炭鉱閉山,造船,鉄鋼,営林,国鉄などの労働者の大量解雇や,離農などで農村の過疎化もすすみ,生活と健康がおびやかされ,人口流出で市や町の存亡が危ぶまれるなか,地域の住民の健康や暮らしの実態にしっかり目を向けていくことが大切であることを報告した。
基調講演――「高齢化社会は危機か」,については次のことが話された。四全総の国づくりである,情報化,高齢化,国際化の方向を明らかにしながら,日本の経済が大企業を拠点とし日本型福祉社会を構築するため,医療,社会保障制度を切り崩してきている。"高齢化社会危機論"で国民を混迷状況にしているが,国民の総生産の配分をきちんとすれば不安はないのではないか。また,医療問題では,90年までに国保と政管健保への国庫補助をゼロにする案がある。老健法は(1)医療費無料化の権利を奪い,(2)医療サービスの差別化を招き,(3)医療保障を変質させ,憲法25条に違反する内容になっている。公衆衛生では,有料化と民活の導入が出されている。医療費抑制のための「地域ケアシステム」,「シルバービジネス」は看護制度検討会の報告書でも分かるように在宅医療の受皿として民活導入が保健婦活動のなかでも打ち出され医療大変革のなかで根本的に保健所のあり方が変えられようとしている。しかし,憲法25条を生活のなかに生かす地域づくりが高齢化社会にむしろ大切である,と報告された。
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