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要旨
〈基調講演〉
総評社会保障部長の公文昭夫氏の講演。1969年に自民党が考えた国民医療対策要綱の綿密な計画のもとに,着々と進められていく医療制度の改悪の実態が報告されました。
老人保健法の制定,健保法改悪,年金法改悪それぞれをバラバラなものとしてみると全体の計画が見えてこない。国家予算の削減という見地からこれを読みとること。今国は,徹底的な仕上げの時期に入っており,福祉,医療の後退に対する私達の役割の重要性を再認識しました。
〈分科会〉
1.子どもをとりまく環境
現代の子育てには悩みがいっぱい。少年の非行,登校拒否,自殺,意欲のない子,等々。好ましい人格の形成を促すために,乳児期からあるいはそれ以前から,なんらかの働きかけが必要だとしたら,現在保健婦がたずさわっている乳児健診の中で見かける"あぶなっかしい"たくさんの母親たちの,本当の援助者にどうしたらなれるのか。実態を交流しながら,健診を単なる"異常発見の場"としないための試みなどについて話し合いました。
2.労働者の健康問題
地区の住人である労働者の健康問題を,保健婦の守備範囲外と決めて関心をもたない実態がある。このような現状の中で,出稼ぎ労働者の検診の経験と,道内中小企業の数多くの検診も担当している病院の経験から労働者の健康問題が報告され,新たな関心をよびました。
3.障害児への援助
障害児の早期発見のシステムづくりから地域でのフォローの輪がひろがっている動き,地域での受皿づくりのために役割を果たしている保健婦の経験を交流。道都大福祉学科の清野先生,千歳市役所福祉課の阿部先生も参加,助言を受けました。
4.アルコール症へのとりくみ
飲酒による身体疾患,暴力,借金,失職,家庭崩壊……。保健婦としてどうかかわればよいのか,個別援助,断酒会への援助,保健所としての酒害者家族教室の運営などについてのとりくみの経験の報告を聞き,どう援助できるのかを学び合いました。
5.精神衛生活動
保健婦は精神衛生活動をしなくてはいけないとみんなが思っている。けれども現実にはなかなか動きださないという実態。考えているだけでは問題は解決していかない,と果敢にとりくんでいる人はどんな問題をもっているのか,保健所の活動,町村の個別援助の事例について話し合いました。
6.老人の問題
老人保健法の実施によって本当に老人の健康は守られていくのか,という不安をみんな抱いています。老人の希望,家族の願い,社会の受皿,行政のあり方,医療・福祉のあり方,保健婦活動についてなど,話合いたいことを山ほどもって集まりました。保健活動のゆき届いた町と,大都市札幌との弊例を中心に話し合いを深めました。
7.老人保健法保健事業のとり組み
実施主体が市町村である保健事業。検診ぽかりでなく,訪問までもが民間委託化がすすみ,費用の住民負担も増えています。この分科会では,保健事業の中で決められたことを必死でこなそうとしている人は,少し広いところに目を向けよう,各地での実践を交換し合おうと確認し合いました。
8.難病患者への援助
保健婦としてどのような援助をしているか。関連機関との有機的な連携をもつための体制づくりはどうしたらよいのか,保健婦としてどんなことを悩んでいるのか,難病連の人たちや,病院のケースワーカーなど,保健婦以外の人たちの参加も得て話し合いました。
今回初めて設定した分科会でしたが,次回ももってほしいと希望が出されています。
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