特集 保健医療制度の再編と保健婦活動の課題
第19回自治体に働く保健婦のつどい集録
基調報告
保健婦をめぐる情勢とこれからの課題'87
田村 加代子
pp.512-513
発行日 1987年7月10日
Published Date 1987/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207344
- 有料閲覧
- 文献概要
「第19回自治体に働く保健婦のつどい」運営委員会より,この1年間の私たちをとりまく情勢とこれからの課題について報告します。先に厚生省が発表した昭和60年度「国民健康調査」によると,国民の7〜8人に1人が病気だと言われ,新聞社のアンケートでも38℃以上の熱があっても休めず出勤するサラリーマンが半数近くいると報道しています。心労,ストレスによる精神病も多くなっており,心筋梗塞が職業病に認定されるケース等も増えています。一方,円高不況と減量経営の中で,労働市場はどんどん狭くなり,完全失業率は3.0%,失業者の数は200万人に達するといわれています。船造を初め炭坑の閉山,国鉄の分割・民営化,中・小,地場産業等の経営困難,倒産による労働者の失業は非常に深刻です。しかし,私たちは受け持ち地区のこうした労働者や家族の生活実態をつかんでいるでしょうか。以上のような状況の中で今,国や自治体にとって一番大きな問題となっているのは「高齢化社会」の問題です。
厚生省は「高齢化に対応した新しい民間活力の振興に関する研究会」「シルバー産業の振興に関する報告書」というのを発表しましたが,ここでは「かつて老人は社会的,経済的弱者,マイノリティーという考え方が一般的であった。しかし今や高齢者は社会的にも経済的にも主役の一翼を担いつつある」と述べ,その根拠として高齢者の購買力の高さをあげています。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.