書評
—山本繁・工藤充子編—小児保健と障害児
真仁田 紀代子
1
1町田市役所
pp.217
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206968
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公衆衛生実践シリーズ・8(第2回配本)
今までの乳児・3歳児検診から1歳6か月児検診へと乳幼児の健康診査が拡大されてくる中で,その内容も単に身長体重の測定,疾病のチェックを機械的に行うことから,発達小児科学的立場から乳幼児の健康管理を行っていくという方向に変わって来た。保健婦としては,乳幼児を見る目の変化にとまどいもあったが,異常を早期に発見し,早期訓練へつなげるためには,母親の主訴をじっくり聞き,児の発育を継続的に観察することの必要性を改めて感じた。単に障害児として見るのではなく,障害児になる以前の状態があり,又,その後の可能性もあるということを痛感して来たのではないだろうか。
しかし,現実に活動していく中で,壁にぶつかることは多い。一貫して見ていくことの必要性,とりわけ,施設に入るほど重度でないケースの場合,どうしても地域の中でのケアが重要となって来る。乳児期の訓練のための通院,保育園の入園,小学校の入学等,それぞれの時期に大きな壁があり,問題がある。地域の中でのケア体制が不十分な現状では,家族,とりわけ母親への負担は大きくなる。
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