研究報告
農村における地区組織の活用—「中老会」に期待するもの
西林 雅子
1
1岡山県都窪郡庄村役場
pp.64-68
発行日 1964年1月10日
Published Date 1964/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203027
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まえがき
農村の健康度は衛生知識の普及と正比例すれば問題はないのですが,はたして生活水準が高まると同様に向上されているでしょうか.農家の家族制度には複雑な人間関係がからみ,精神的な不満のつみ重なりから,思わぬ疾病を生み健康度を下げる原因が目につくようになりました.このような表面にあらわれぬ問題をみんなで解決する一方法として,地区組織を育成強化し,この活動を活用することによって,いっそう効果が上がるのではないかと,私は保健婦業務の大半を組織づくりに専念いたしました.その結果中老会という変わった会ができ上がり,活用方法によっては,大きな期待がかけられるのではないかと考えております.
特産品の藺草加工が家内工業を発展させ,多くの農家では織機が夜おそくまで急がしく動いております.そのうえまた最近では土地の高い山寄りの地帯では温室栽培のマスカットがめざましく伸びてきました.このような農村では農閑期がなく家族ぐるみの労働が必要となり,自然主婦の労働過重が重なり,健康についての自信がなくなっています.
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