連載 活動の中から
じん肺検診の中で保夫さんのこと=2
吉田 幸永
1
1京都府日吉町
pp.762-763
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205927
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防音装置のきく町長室,応接テーブルを中央に,「あ,課長はあちら」町長と課長が向い側に,同盟側2人,Mさんと私の4人が反対側に並んで腰をおろした。町長は総務の職員を呼んで,「お茶を持ってきたげてくれ」と言った。これで朝から3回目のお茶のサービス。支部長のJさんが昨日からの経過を伝え,つづいて保夫さんがN病院の問題を話した。大分緊張している保夫さんに,「保夫さん,血圧計りのことも言うておかはったら」「Mさん,ご主人が夜中に発作がおきて困らはった時のことなど話さはったら」と保健婦。保夫さんも,Mさんもこんなに間近かで町長と話したことはないのか,土曜日の午後の感じとはちがう。小さな膝小僧をきちんと揃え,町長を正面に双方の発言をメモしている保夫さんが少し気の毒。
町長は「おしいことをした。実は1昨日協議会があったのに!」「N病院のですか?」「そう,その席でN病院についての問題を各町の町長連中が出しあって議論するので,ま,次の会に出します。おたくらはN病院の内部告発をして下さい」内部告発を引き受けてくれる理事者。それを町長室で,理事者(町長,課長)対,同盟プラス保健婦の関係で何の抵抗も覚えず交渉がすすめられている。このことは後で考えてみて常識では考えられない大変なことを私たちはやっているんだと思う。11時,「今日は又次の会がありますので,あなた方の問題はよくわかりました。私は,次の会で問題提起をやります。
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