連載 聖路加の公衆衛生看護部●訪問看護活動を中心とした歩み・6
清里地区での訪問活動の経験
松下 和子
1
1聖路加国際病院公衆衛生看護部
pp.495-500
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205885
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.清里聖路加診療所とは
"山辺に向いてわれ目を上ぐ,助けはいづかたより来るか……"という讃美歌が刻まれた大きな石の門が目に入り,思わずそれを見上げると,真正面には美しい,そして雄大な八ケ岳が目の前にそそり立っている。これは国鉄小海線清里駅で遭遇する感動的な体験である。この門柱こそ清里Keep協会の入口なのである。清里は山梨と長野県境,八ケ岳山麓に位置する海抜1,350〜1,450米の高原,ここにKeep協会という農村センターがある。KeepとはKiyosato Educational Experiment Projectの頭文字をとった略称(清里教育実験計画)で,1948年に米国人ポール=ラッシュ博士によって創設された。終戦後日本人が直面していた,そして将来の課題でもあった"食糧,保健,信仰,青年"というものに対する農民の多くの期待を担ない,それを実現する試みの第一歩をふみ出したものである。ここは我国の高原寒冷地農村として代表的な土地で,1936年に日本聖徒アンデレ同胞会により清泉寮が建てられており,そこを基地としてこのKeepが誕生したのである。手っとり早くいえば,キリスト教民主主義による新しい村造りで,教会がまず建てられ,実験農場,図書館,保育園などが相ついで建設された。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.