発言席
保健婦さんへの提言
小栗 史朗
1
1名古屋市千種保健所
pp.321
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205859
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提言などできませんので期待をいいます。その前に,数多くの貴重な問題提起に教えられていることを,この誌面をかりてお礼申しあげます。
昨年,"京都府における保健婦業務の実態(50年度)"を読んで,日本の公衆衛生のきびしさを思い知らされました。230人のうち56.6%の保健婦さんが,仕事をやめたいと思うことがある,といっていることもその一つです。数字は,60%以上の人が保健婦の仕事を自ら選んだにもかかわらず,職場と家庭の諸条件が初心の貫徹を阻んでいることを示しています。しかも条件がかなり恵まれていると思われる地域でのこの数字です。その他にも,例えば,地区住民から信頼されていない,と思っている保健婦さんが30%もいます。資料編集者は保健婦数の不足を第1の理由にあげ,保健婦活動のあり方について,"原点にもどる"ことと"住民要求にこたえていけるよう制度的保障を確立する必要がある"と指摘しています。その通りだと思いますが,それゆえにまた,保健婦さんは,ぬかるみを這いずりまわるような日々を送らねばならないのか,と共感します。
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