苦言辛言
治療の前に生活のことが問題に
辻川 寿之
1
1日本むちうち症連絡協議会
pp.490-491
発行日 1974年7月10日
Published Date 1974/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205501
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はじめに
交通事故にあい10年,その交通事故,労働災害,職業病の被災者の"いのちとくらしを守る"運動のなかで,医療面で身近な人達といえば,医師,看護婦,訓練士,施術師や社会福祉事務所のケースワーカー,医療ケースワーカーなどの人達で,保健婦さんの役割りについては全く知らない私が,原稿を書くことに面映ゆさと戸惑いを感じながらも,運動面からみた現行医療制度の矛盾点について,不十分ですが,感じた点を述べてみたいと思います。
昨年11月19日,社会保障制度審議会は,昭和49年度予算案の編成に当たって"当面する社会保障の危機回避のための建議"—インフレーション下の社会保障—を内閣総理大臣へ建議しました。そのなかに"インフレーションは社会保障の大敵である"と指摘していますが,今日の社会保障のなかで,物価暴騰,インフレの波をもろにかぶって二重三重の深刻な苦しみを受けているのが,社会的弱者といわれる難病,長期病患者や障害者です。あらためていうまでもなく"社会保障は労働者,国民の基本的権利"であり,働く国民のひとりひとりが,人生を人間らしく生きていくために,社会生活によって生ずるすべての災危(出産・病気・身体障害・労働災害・職業病・老齢・失業・家族手当)については,負担なしの社会的給付が,法律にもとづいて本人と家族に保障されなくてはなりません。
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