Medical Topics
交通渋滞とがんの集積発生
大八木 重郎
1
1前東京都玉川保健所
pp.68-71
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205422
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牛込柳町の高度汚染大気
この地点は,昭和45年5月鉛公害エピソードで有名になったところで,都心と新宿副都心の中間に位置し,北南に走る外苑通りの交差点を中心とする長さ約800mの区間だけが,道路幅が10m余の狭さで,この道は地形上谷間にあたり,明治時代からの家屋もところどころに残っているほどの古い商家町で,人口密度はkm2あたり2万数千名という稠密さである。
また横切る元都電(45年3月撤去)通りでは,この交差点が,東西からの坂下にあたり,この付近での車の渋滞により,多くの車が停車中の空だき,加速,あるいは減速する時間が長くなる。いずれもガソリンの不完全燃焼のため,一酸化炭素,炭化水素などは,定速巡行時の数倍ないし十数倍の濃度に達し,そのため一日中に排出されるこれらの汚染物質は,かなりの量となり,そのうえ地形上風などで流されることが少なく,また逆転層などの形成なども起こりやすく,低地にガスが長時間停滞しがちになり,実際に柳町交差点角の一家屋内で,外部大気に比べて,7割程度の一酸化炭素,鉛濃度を保ち,その影響は夜間にまで及んでいることは,45年5月公害局の測定で確認されている。
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