ニュース診断
不愉快,不安,不信の日々
久米 茂
1
1深夜通信
pp.67
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205421
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どうも紋切り型になっていけないが,"不愉快"と"不安"と"不信"がつのるばかりのきのう今日である。例のモノ不足,インフレを中心とした一連の出来事に対してである。2,3日前まで100円だった品物が,今日は130円になるといった"不愉快"さ,数日したらもっと値上がりするかもしれないという"不安",そしてこういう異常な経済状況は政府がダメだからという政府への"不信"――ということは言うまでもない。気をしずめて少し本を読み,人の話を聞きかじって私なりにこの世相を〈診断〉してみると,万事がとことん作為のものだということ,つまり特定少数者によってつくられたものだということである。昨年の10月〜11月にあれだけ騒がれた紙不足,石油不足もことしに入ってあちこちにストックされていたことがわかったし,1月になってやかましくいわれている洗剤だって住民運動の盛んなところでは"隠退蔵摘発"が功を奏し始めているぐあいである。
モノ不足なんかではなく,あるところにはちゃんとあるのだ,ないように見せかけ,世間が騒ぐと値上げをして出廻らせる――ということをだれかが操作している,ということがだれの目にもハッキリしてきた。そのことがいまいましくまた腹立たしい。
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