書評
クルマの渋滞 アリの行列―渋滞学が教える「混雑」の真相
西村 多寿子
pp.47-49
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101194
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「渋滞」をキーワードに読みとく新しい科学の地平
人の身体にも「渋滞」がある?
「渋滞」という言葉から何を連想するだろうか?正月やお盆の帰省ラッシュでテレビ中継される高速道路の車の列を思い浮かべる人は多いと思うが,アリの行列や,災害時の建物からの避難を思い浮かべる人はそれほど多くないだろう.
「渋滞学」という新しい学問では,渋滞という現象をかなり広い意味でとらえており,体内での分子の流れや,人から人への感染症の広がりも研究対象になるそうである.例えば,体内の神経細胞はさまざまなタンパク質が流れている高速道路と考えることができる.この流れが渋滞するとアルツハイマー病などの神経疾患に繋がるという考えから,医学系の最先端の研究でも数理解析の場面で「渋滞学」は用いられている.
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