視座
医療不信のときに思う
佐藤 孝三
1
1日本大学医学部整形外科学教室
pp.209
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905147
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40年もむかし筆者が学生のころ,故東大名誉教授入沢達吉先生から聞いたのであるが,「わたくしの患者の中で一番幸福な人は,田舎のお婆さんで何でも先生にお任せしますと私を信頼しきつている人だ.反対に気の毒なのは,生半可な医学知識をもち,いつもくどくどと質問をくりかえす人だ.医師と患者が信頼感で結ぼれなかつたらお互いに不幸だよ」
入沢先生のような日本一の内科の泰斗でさえも,不信の患者に悩まされることがあつたらしい.現在の私共は世相の移り変りにともなつて,いよいよ多くの医療不信の患者にとりまかれている.
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