特別掲載 土曜会20周年記念集会シンポジウム
私のやっている保健婦活動(2)
小林 ユキ子
1
,
小宮 勇
2
,
宇津野 ユキ
3
,
貴志 芳子
4
,
林 義緒
5
,
船越 治子
6
,
山岸 春江
7
1東京都調布市役所
2神奈川県横浜市衛生局
3群馬県桐生保健所
4和歌山県岩出保健所
5水旺会
6鳥取県大山町役場
7東京都府中市役所
pp.774-783
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205377
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支援の場をみきわめられる保健婦に
樋口(北海道) 私は昭和20年から保健婦をしています。3年前から精神に取り組みだし,いままで患者の人権を守っていなかった,行政のなかの保健婦の役割しかしていなかったことに気づきました。行政のなかにいても,やはり業務は地域住民側に立って保健婦活動をして,そして行政を上手にそのなかに活用していく保健婦でなければいけないんじゃないでしょうか。またこのことについて,皆さんからご指摘やら,ご助言をいただければ幸いと思います。
それから別な角度でみたときに,いままではとかく保健所の保健婦は,伝染病をおもにしてきたために,なにか伝染病を予防するということを強調しすぎたことで,結核患者を入院させてしまうと,それが医療に結びついて,その人も治療ができるし,家族にも感染させないですむという,保健婦なりの安心感があったような気がします。でもよく考えてみると,母親であるケースが入院をしたことで,子供たちは施設に預けられ,家族がバラバラになってしまっているのではいけない。やはりこれはほんとうの解決ではないということを,精神衛生を始めてから感じたわけです。精神障害者がいるから入院させて治すんじゃなくて,社会生活しながら,病気を治していく支援をすることが,患者さんの人権を守ることで,それがほんとうの保健婦活動ではないのだろうかと。
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