連載 世界の保健・医療制度/過去・現在そして未来……【新連載】
医療概論=Ⅰ 医療の体系と成分をめぐって
田中 恒男
1
1東京大学・医学部保健学科
pp.494-498
発行日 1973年7月10日
Published Date 1973/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205324
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わが国の医療・保健制度は,いまや大きくゆれ動いている。医師の独善的支配は,患者もしくは住民の意識の向上と,健康を守るためのたたかいのまえに,大幅な後退を余儀なくされつつある。これからの医療・保健制度がどうなっていくのか,ちょっと予測することがむずかしい。
第二次世界大戦後,世界の範とされつづけてきた英国のNHSが,一種のデッド-ロックに乗り上げたとする見方も出てきており,スウェーデンの社会保障制度にも,暗いかげがさしはじめたと言う人もいる。一方,社会主義体制をいち早く築いたソ連の医療制度のなかに,資本主義的制度の萠芽を見いだすことができる,とする人もいる。
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