今月の主題 DICとその周辺
治療
成分輸血
清水 勝
1
1都立駒込病院輸血科
pp.860-862
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207244
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はじめに
すべての輸血を行うにあたって常に考えておかねばならないことは,輸血はあくまでも補充療法であるということである.したがって,輸血の効果を最大限にあげるためには,目的とする血液成分について,下記の事柄に十分配慮することが必要とされる.
第1には,該当する成分が一般の供血者の体内においてどのくらいの量存在するかということ,第2には,採血・製剤化の過程や,保存時間・期間内に,その成分の量や活性能がどのくらい低下するかということ,第3には,その成分が患者に輸血されたとき,患者の体内での最少有効量と,体内における寿命とがどのくらいであるかということ,第4には,その成分の減少が急性にきたものか慢性にきたものかということである.これらの諸点を考えることなく輸血することは,輸血の効果を十分に期待できないばかりか,いたずらに副作用を助長するにすぎない結果となるといわざるを得ない.
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