調査
保健所における母親教室受講者の分析
山下 洋子
1
,
川崎 すま子
1
,
唯 正一
1
1大阪府布施保健所
pp.67-72
発行日 1972年11月10日
Published Date 1972/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205181
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はじめに
最近のめざましい医学の進歩は,一面,医療の細分専門化を,他面,拡大総合化をもたらし,後者では特に洋の東西を問わず健康教育の必要性が重視されつつある現況である。母性保健妊娠管理では,特に健康教育の占める分野は大きい。その意味で戦後米駐留軍のミス=マーティンによって導入された,母親学級の妊婦教育の面での貢献は,きわめて高く評価されねばならない。この間施設分娩は急増し,妊産婦死亡率,周産期死亡率,新生児死亡率は著明に減少し,特に後二者は国際的にみてもトップ-レベルに到達した。
これらの状況の変化に対応して,母親教室の内容,実施方法も当然マーティンの母親教室のままではありえない。病院,保健所,民間団体などによって実施されている母親教室も種々の創意工夫がこらされてはいるが,実施主体,対象地域の特性に応じた機能,実施法の分化,相互連携などに関しては,今日なお多くの問題があることは否定できない。われわれは原点にかえって保健所の行なう妊婦教育,母親学級のあり方を求めるべく,その第一歩として受講者のアンケート調査を実施し,いささか知見を得たので,以下これを報告し,合わせて健康教育としての母親学級の意義とその方向について考察を加えてみたい。
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