資料 公衆衛生看護論4
地域における看護の役割と展開
小林 富美栄
1
1東京女子医大看護短大
pp.59-61
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205123
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衛生行政活動の一機関としての機能を強要されてきた保健婦
前2回において,看護基礎課程における教育の方向とその実践の準備として教室外学習――医療機関内の実習と地域における実習--について現在試行している1例を掲げて説明をした。基礎課程の終了者は,地域において看護ケアをする初級者としての能力をもっているが,今日まで,医療機関外では,看護婦の資格では補助的な行動を要請されてきた実態と,教育側での指導不足と新しい方向への浚巡があって,実際活動に踏み切ることは容易に実現しないかもしれない。
ところで,地域住民の健康をレベル-アップするための具体的活動が,保健・医療の専門家群を主体に,地域保健,または地域医療として健康から疾病までの連続体を包括的に世話をする考え方が日本医師会,その他から提示されている。この点については本誌に田中1,2)が詳述している。看護がこの活動のなかで重要な役割をおっていることはいうまでもない。地域住民,特に医療機関外の人々のもつ健康状況は,医療機関内にある人々が主として健康障害から回復への過程,あるいは増悪防止の段階にあるのに比べて,まことに多様である。すなわち,ここでは健康の保持・増進はもちろん,健康回復に対する援助を必要とする対象も包含されなければならない。
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