声
保健婦になって5か月
小林 サチヱ
1
1豊島池袋保健所
pp.9
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205116
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夏の太陽がギラギラ照りつける。鳥の鳴き声を聞いてふとベランダに目をやると,雀が1羽,ピョンピョンと歩いている。最近東京では雀も近くに見たことがなかった。ここは空により近い地上14階のへや,下を見下すと人間や車がおもちゃのように小さく見える。なんとまあ人間の世界はせせこましいのだろうか。
光化学スモッグにしろ,ガツガツと生産を続ける工場と人間がどんどんつくり出した車のせいといわれている。自分たちの生命をおびやかすことをなんの矛盾も感じずにやっている人間といういきもの。もうみんなが何も感じなくなってしまったのだろうか。おいしい空気やあざやかな緑,青い空,青い海がほしくないのだろうか。
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