Medical Topics
10年後の水俣病の研究と取り組んで
武内 忠男
1
1熊本大学医学部病理学教室
pp.68-69
発行日 1972年5月10日
Published Date 1972/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205089
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昭和31年に水俣病の研究が始められ,多くの事実がわかっていたのに,最近になって再び"10年後の水俣病の疫学的・臨床医学的ならびに病理学的研究"がなされねばならないということは,どうした理由によるのであろうか。その間私どもの研究が途絶えていたわけではない。むしろ,私どもの地道な研究が細々ではあっても続けられていたのが,一つの過程を示したとも言えないことはない。もちろん,最大の理由は,水俣を中心とする有機水銀の汚染地区に現実に患者がいて,水俣病として取り上げられていなかったことにある。それらの患者が水俣病患者として把握されなかった理由には,政治的,社会科学的ならびに無知そのほかさまざまな理由があるが,医学的知見の不足も忘れられない理由の一つであろう。
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