特集 住民とともに歩む一つの姿勢
"14年目の訪問"をめぐって
砒素ミルク患児との出会いと訪問の動機
稲村 晃江
1
,
大塚 睦子
1
,
篠原 房子
1
,
冨家 禎子
1
,
松尾 礼子
1
1森永ミルク中毒事後調査の会
pp.8-11
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205057
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本誌新編集部が,はじめて"はばたけ"のメンバーと接触をもったのは昨年の11月初旬のことであった。大阪という,保健婦活動の原点ともいうべき地域の保健婦,というイメージを抱き続けていた編集部の一人は,"モリナガ"の4字を口にするのに,あたりをはばかる様子に,不審をもった。
いろいろな話を聞いているうちに,マス・コミ発表,学会に問題提起というプロセスのなかに,現在の保健婦活動が直面しているさまざまの要因があることに気づかせられた。"よし,特集として取り組んでみよう!"
次に"はばたけ"のメンバーと会ったのは,今年の1月,寒風の吹き抜ける大阪・中之島の近くであった。代表として集まった5人は,いずれも若く,大阪の,いや全国至る所の町で見かける女性となんら変わるところはなかった。編集部の面々は,いままでに会ったAさん,Bさん,Cさんを思い出していた。"砒素入りミルク"という"人殺し"商品を売りまくって平然としている企業と,その尻押しをした行政に対して,敢然とした戦いをいどんだのは,超人でもなければ変人・奇人でもない。どこにでもいる保健婦D,保健婦E,保健婦Fなのであった。
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