特集 第10回社会医学研究会
一般演題
食品中毒の問題点(森永砒素ミルク事件の実態調査)
朝倉 新太部
,
相磯 富士雄
pp.694
発行日 1969年12月15日
Published Date 1969/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203996
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大阪大学生の奥山明彦,小野元胤によって報告され,さらに共同調査をした大阪府の保健婦から追加発表がなされたが,以下要約である.
社会が高度化され,産業化されてきた現在,いろいろな"公害"が,多くの人々を苦しめている.その"公害"の中で最も重要なものは,食品による"公害"ではないか.人間が毎日飲食しているものに何らかの毒が入っていたらどんなことになるか.まことに恐るべきことであるが,現実にはライスオイル事件,水俣病などがおきている.このような食品公害が起こらないようにするためにはどうしたらよいか.このような時点で,次第に忘れさられつつある森水ドライミルク砒素事件の被災者について,その後の状態をしらべることは重要なことである.当時の被害者である赤ちゃんも13年を経過して中高校生になっており,この子たちに,現在でも中毒症状が残っているのか.その症状,その患者たちに対する社会の対策が行なわれているかなどについての調査をした.とくに被害者の苦しみ,考えを知ることに重点をおいた.大阪大学の学生2名,大阪府下の保健婦,養護教諭の集まりである"はばたけ会"で6カ月の間討論した結果,この実態調査をおこなうことの意志の統一がなされた.
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