特別講座
ウーマン・リブ
樋口 恵子
pp.56-66
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204923
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I.ウーマン・リブの流れ
きょうはウーマン・リブを中心に,現代の婦人問題についてお話ししようと思います。ウーマン・リブというのは,一種の流行語になってしまいまして,日本ではまるで"女性上位"ということばと同義語のように使われている向きもございます。しかし,これはご存じのとおり,ここ2〜3年アメリカを中心に広がりました新たな婦人解放運動のことで,正式にはウーマン・リバレーション・ムーヴメント――Women's Liberation Movement――略してウーマン・リブと呼ばれているものです。日本にも若い世代を中心に同じような発想・主張をもつ運動が起こり,昨年来マスコミの話題をにぎわしております。アメリカでは,婦人が参政権を得て昨年で50周年を迎え,日本がことしで25周年になるのにくらべて,"政治参加"の倍の歴史をもっております。そして,戦後私たちは,男女同権,女性も権利と責任をもって生き生きと生きる国として,またレディファーストの国としてアメリカを見てまいりました。そのアメリカでどうして新たな婦人解放運動が起こらなければならなかったのか,そして日本との接点と日本独自の問題点――等々につきましてお話ししていきたいと存じます。
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