私と読書
男性中心の中世におけるウーマン・リブの姿—「わわしいおんな」を読んで
松田 佳子
1
1国立小倉病院付属看護助産学校
pp.688-689
発行日 1976年11月25日
Published Date 1976/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205132
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男性と女性の愛の姿を歴史的にひもといてみようとする時,古代,中世の文学では難解な言葉や文章につまづき,つい遠ざかるものである。こうした点を一度にときあかしてくれたのが,この,もろさわようこ著「わわしい女」一狂言・御伽草子にみる女性像—である。この本は,狂言と御伽草子にみる女性像を通じて,中世の社会背景を含めて庶民の生活実態を知るのにも良い手がかりを与えてくれる。特に当時の家庭内における女性の生活習慣や,女性の地位等について知るには,数少ない貴重な本ではなかろうか。
最初,表題がおもしろくてとびついた本であるが,「わわしい」というのは,古語で「うるさい」という意味である。どうやら当時「わわしい女」というのは,男性の側からみると「うるさい女」ということになるらしい。
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