特集 保健所再編成の動き
第Ⅱ部 資料編
資料解説
pp.19-24
発行日 1971年3月10日
Published Date 1971/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204864
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1.保健所の再編成の方向と医療制度
a.医療制度改革の方向
昭和44年8月,日本看護協会保健婦会の役員会は厚生省保健所課長外と保健所機構改正問題をめぐって話し合いをもった。というのは,同月のはじめ,「時事通信」および「農業新聞」に機構改革が報道されたことによる。話し合いでは「従来は保険財政の立場から抜本改正が中心に云々されてきたが,今後は予防医療も含め,日本国民全体の医療体制のあり方ということで抜本改正を考える1)」という発言があった。すなわち来るべき保健所の機構改革は単なる保健所の再編成ではなく,医療制度全般における保健所の機能という観点からその作業がすすめられていることがわかる。
さて与党である自民党が「国民医療対策大綱2)」を発表したのは,44年4月のことである。これをうけて厚生省は8月に「医療保険制度改革要綱試案3)」をつくり,これを総理大臣の諮問機関である「社会保障制度審議会」(会長代理石原幹市郎)と厚生大臣の諮問機関である「社会保険審議会」(会長有泉亮)に諮問した。その内容の主なものは,
①健保,共済などの現行の被用者保険から家族をきりはなして国保にうつし,被用者だけの「勤労者保険」とする。
②高齢退職者(15年間被保険者であったもので,55歳以上での退職者)は,70歳に達するまで勤労者保険に加入させる。
③70歳以上を対象とする「老齢保険」を新設する。
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