特集 住民に学ぶ
住民レポート
セロハン公害—その2
大川 博徳
1
1三重大学教育学部
pp.27-40
発行日 1970年10月10日
Published Date 1970/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204770
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筆者ら公害研究会(事務局,名古屋大学医学部公衆衛生学教室)は,昭和44年5月,名古屋市北区にある2つのセロハン工場(アイセロ化学と大日本セロファン)の排液および臭突から大量の硫化水素と二硫化炭素がばらまかれていることを調査定量し,マスコミに発表するとともに,住民の健康に重大な影響があることを指摘したパンフレット(公害報告-1,5000部)を作成し,地域住民に直接配布,セロハン公害に反対する住民運動に科学的に取組むことになった(本誌第25巻第11号参照)。
陳情,請願に代わって,この公害を住民が科学的にとらえるために「研究会」が現地で開かれ,住民有志による世話人会で運動の進め方が討議され,
1.住民運動の方針や具体策はすべて会員の意志によって決められること
2.真に住民の立場で,住民に納得のゆく解決であること
3.セロハン公害をなくすために,思想に関係なく,何人とも共に手をつないで運動を進める
という三原則が打出された。
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