Medical Topics
麻しんワクチンと種痘の現状および問題点
大月 篤夫
1
1セツルメント菊坂診療所
pp.50-51
発行日 1970年8月10日
Published Date 1970/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204739
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麻しんと天然痘,正反対の流行状況
麻しんはすべての子供の羅患する病気といっていいでしょう。隔年流行の傾向がありますが,大体出生数200万弱に見合った数の幼児が罹患すると考えられる訳です。麻しんによる死亡は昭和24年には12,289人であったものが,昭和42年には142人と2桁も減少しています。栄養状態→抵抗力の増加と抗生物質の普及がこのような死亡数の減少をもたらしたといわれています。
麻しんはもう恐ろしい病気でなくなったのか,というとそうでもなくて,イギリスの例では,熱性痙攣が0.7%,麻しん脳炎が0.1%,全体に重い合併症が7%もあるといっています。また近頃話題になっている亜急性硬化性全脳脳炎(SSPE)は麻しんウィルスによって起こるものとされ,また多発性硬化症も同じウィルスによる疑いがもたれています。
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