特集 予防接種
麻しん・風しんワクチンの2回接種
安井 良則
1
1国立感染症研究所感染症情報センター
pp.271-276
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100276
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麻しんは,2001年に全国的な流行が見られたが,それ以降は年々減少が見られている.全国約3,000か所の小児科定点医療機関からの累積報告数(感染症発生動向調査)では,2001年の34,237から,2005年は603(2006年1月現在未確定値)と大きく減少した.風しんの定点報告数も2004年は4,236と前年よりも増加したが,2005年は初めて1,000以下となることが確実である.麻しん患者報告数の減少は,2001年頃より全国の小児科医や自治体を中心に,ワクチン接種率向上のための対策やキャンペーンが実施されてきた成果であると考えられる.
今回,平成16年7月29日付で予防接種法施行令の一部を改正する政令,省令が出されたが,これは平成18年4月1日から麻しん・風しんの混合ワクチン(乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン)の定期予防接種と,2回接種の導入を目的としたものである.これは,麻しんおよび風しん感受性者の蓄積による将来のアウトブレイク発生の阻止だけではなく,両疾患の日本国内からの排除を目指す上において,極めて重要であることは間違いはない.しかしながら,今回導入される制度とその運用には様々な問題点が存在している.場合によっては,ワクチン接種率の低下を招き,ここまで減少してきた麻しんもしくは風しんの発生数の増加のみならず,流行を来たすことも危惧される.
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