特集 ニューフェイス1年の記録
新設保健所に勤務する
堀毛 香代
1
1横浜市保土谷保健所旭支所
pp.14-16
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204644
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あるうら暖かい日の午後,私は田畑を横に広い道を歩いている。草や木が寒い冬のマントを脱ぎ日向ぼっこをしている都会の田舎。タンポポが芽を出し木々が枝を伸ばしている。都会にもこのような所があるのだとほのぼのする風景である。
私の心もそんな草木と同じように大きくふくらんでいる。未熟児訪問で目的地を目指して歩いている。この訪問は私の心をちょっぴり弾ませた。というのは保健所長あてにくるはずの出生届が直接私の名前で舞い込んで来たからである。私は1度も逢ったことがない。課の人達や先輩に所長抜きにしてご指名でくるとはたいしたものだとひやかされて出てきたのである。たわいもないことなのであるが保健婦1年生の私にとっては力づけの原因ともなるものである。ふと思い出した。「そう私が就職したのも春だった。はや1年経ったのだ。早いものだなあー」と。ちょっとここで私の歩んできた1年間の短い道を振り返ってみることにしましょう。
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