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全国総都市化の意味するもの
井下田 猛
1
1思想の科学研究会
pp.56
発行日 1969年7月10日
Published Date 1969/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204470
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バラ色の新全国総合開発計画
この5月30日に,政府は閣議でさる4月30日に国土総合開発審議会(平田敬一郎会長)が政府案通り答申していた新全国総合開発計画を決定した。これは,昭和37年に策定された全国総合開発計画を手直し,「過密・過疎問題の解決と,国土の有効利用をはかる」(『朝日新聞』5月30日号)ものであり,「地方都市,魅力盛る遠隔地にも大工業基地」(前掲紙5月1日号見出し)となるものだ,とされている。
ところで,今回策定されたこれは第1部「国土総合開発の基本計画」第2部「地方別総合開発の基本構想」第3部「計画達成のための手段」の3部からなっている。そして,この大型開発プロジェクト(計画)は,①交通・通信手段の確立,そのために大型の交通・通信のネットワークを全国に広げる。②大型産業基地の計画。③環境整備計画。④広域行政の推進=行政権の統廃合。⑤開発主体に民間資本を導入する,といったものがその柱となっていて,"日本列島の改造案が"計画の最終年次である昭和60年には住民福祉の増大が達成されて,バラ色の日本が描かれるとしているものである。
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