連載 保健と社会・3
都市化と健康・生活水準の地域差
奥田 道大
1
1東洋大学・社会学部
pp.70-74
発行日 1966年5月10日
Published Date 1966/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203653
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■健康水準は地域によって異なる
住民ひとりひとりの社会=経済的地位を,職業,収入,学歴その他の指標にもとづいて格づけしてみても,そこでえられたAの階層なりCの階層が具体的な意味をもつのは,階層序列の尺度の上ではなく,住民ひとりひとりが現実に生活している地域的場面においてなのです.とうぜん,住民の社会=経済的地位と地域的場面との相関を問う必要がありますが,ここではそのまえに,ひろく解釈される地域差というものが,健康水準においてどのように投影されているかを展望する作業からはいりましょう.
健康水準(levels of health)の測定指標については,その評価の問題とあわせておおくの提案がありますが,ちなみに,WHOによれば,(1)総合的指標としての,イ)Proportional Mortality Ratio(P. M. R. 年間の全死亡に対する50歳以上の死亡の比率),ロ)平均余命,ハ)粗死亡率,(2)個別的指標としての,イ)乳児死亡率,ロ)人口10万対伝染性疾患死と,ハ)保健サービス,保健活動に関する諸指標(上水道による給水人口の比率,汚物処理施設を利用できる人口の比率など)のほか,罹患率,栄養,精神衛生,環境的要因,健康に影響を及ぼす社会的要因などの諸指標が,健康水準の測定にとくに重要と考えられています.
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