連載 保健指導における面接の技術・2
事例をもとにした面接場面の分析
松野 かほる
1
,
武 和子
2
,
大沢 カツ子
2
,
外間 邦江
1
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2神奈川県大和保健所
pp.75-84
発行日 1969年5月10日
Published Date 1969/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204437
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前回のあらまし
先月号には,この講座でふれようとしている保健指導における面接の問題について述べた。そして,62歳の婦人で3年前に結核が再発し,治療を再開しているが,地区に新任の保健婦が訪問を計画した時点の3カ月前から治療を中断している事例Aにたいして,受療の継続をすすめるための訪問をし,面接を開始した時の状況を紹介した。
その時の状況を要約すると,保健婦は,患者の家で奥の間に案内され,そこで自己紹介をし,訪問の目的をつげてAと話をすすめる態勢をつくった。保健婦の説く治療継続の必要性にたいして,「またお願いにあがりましょう」㊴と言うが,二言目には,最近のところは忙しい忙しいで…」㊶とAは,中途半ぱな応答をする。この時点で,保健婦はAが本当に受療のために動機づけられたとは実感として把握できず,何かまだ表現されていない問題がありそうだと感じとっている。そこで,家族構成の状況をしらべることを手がかりにAの持つ問題を追求していくところであった。面接場面の雰囲気としては,やや緊張感があり,Aは高い声で話し,笑いを頻発している。
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