連載 保健指導における面接の技術・1【新連載】
事例をもとにした面接場面の分析
松野 かほる
1
,
外間 邦江
1
,
武 和子
2
,
大沢 カツ子
2
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2神奈川県大和保健所
pp.79-84
発行日 1969年4月10日
Published Date 1969/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204416
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はじめに
地域に在住する個人やその家族にたいする働きかけは,対象の健康問題の解決を目標に導き出される一連の過程のなかで専門職看護の知識と技術をもっておこなう意図的,計画的な活動である。
ところで,おれわれが従来保健指導場面で駆使している技術は,理論の裏づけに乏しく,一方理論的であるとしてもそれは専門職看護以外の領域,例えば医学,心理学,社会学,教育学をはじめ基礎科学や応用科学と呼ばれる学問からの直輸入であることが多い。近年,われわれは対象理解のための総合的な接近を,その人の置かれている環境や人生の流れの交叉地点において,また援助者との関係のなかで試みようとしている。そうした時に人間理解の一方法としてカウンセリングや種々の精神療法の範疇で発展している技術をさらに看護へ導入し適用しはじめた。しかし,これらの技術はそのままの形では生かされ得ないことに同時に気づきはじめた。その理由として,一つにはこれらの理論や技術を充分に消化しきれず,部分的な生かじりをやむなくしていることが考えられる。またしかし,消化し得たとしても残る問題は,これらの技術は看護の特有の状況から導き出されたものではなく,役に立つこともあるが全面的にあてはめられるものではないことである。看護研究の先輩達の指摘していることは今や実感として迫ってくる課題である(1)。
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