特集 保健婦の技術と専門性
看護の概念と技術
金子 光
1,2
1日本看護協会
2東京大学医学部
pp.9
発行日 1968年10月10日
Published Date 1968/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204282
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看護婦と保健婦の技術を考える場合には,「看護」の概念についての本質的な理解を前提とします。およそ人間のあるところに「看護」ありといわれるように,「看護」は,決して小手先のテクニックではなく,「健康」に基盤をおいた幅広いcareとして理解されなければなりません。病気というものも,健康な生活過程でおこってくる一過程であるということを理解した上で,臨床でも看護にあたらなければならないと思います。人間が社会生活を営む上でおこる健康上の問題を解決するために,専門的にその人を支援することが看護であると考えれば,看護婦の技術と保健婦の技術に本質的な差はないということがいえましょう。もちろん,職場を臨床に求めた人は,医療に協力するための高次の,複雑化した専門的なテクニックは,そこで身につけるでしょうし,公衆衛生の場では,個人から家族,地域社会といった広がりを扱うために必要な理論と技術を身につけなければなりません。
臨床看護婦のおかれている諸々の「条件」から,臨床での仕事に興味を失って保健婦になったとすれば,それは,「看護」に対する深い理解を欠いているともいえましょう。病気をもってなやんでいる人の,相談相手となり,励まし,careを行い,そのなやみを解決するために援助する意義の深さは,その病気が回復したときには,いっそうドラマチックで魅力があるとも考えられます。
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