特集 食品衛生と食中毒
お手拭きの消毒効果に対する検討
天明 黎子
1,2
1東京医科歯科大学医学部
2和洋女子大学微生物学教室
pp.41-45
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204021
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はじめに
経口伝染病予防の立場からみた手指の消毒の意義は,多くの言葉を要すまい。その重要性をいかにして大衆に周知徹底するかは,人類が疾患の原因としての細菌の存在を確認して以来,公衆衛生,あるいは食品衛生の分野で仕事をするものの課題であったといえよう。
したがって手指の消毒をいかに効率よく実施するか,どのように実施するのが理想的であるかについては,当然従来からも種々の研究が行われれきたし(註),また消毒を行うさいの薬液についても,種々の改良が行われてきたわけである。しかし,今日,クレゾール石けん,昇汞水,逆性石けんなどが,どの程度われわれの実生活の中に日常的なものとして定着しているか,またかりに,それらのものがひんぱんに使われたとしても,はたしてどの程度正しく使用されているかについては必ずしも疑問がないわけではない。特に食品衛生法にもとづく行政指導の行われているはずの集団給食場においてすらも,後述するように必しもそれらの適切な使用がなされていない事例は少くないのである。手指消毒の意義とその正しい知識の普及の重要性は今日においても,いささかも変っていないのである。
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