特集 下痢腸炎の保健指導
下痢腸炎の疫学
川田 智恵子
1
,
田中 恒男
1
1東大医学部保健学科
pp.21-23
発行日 1967年6月10日
Published Date 1967/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203948
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毎年の国民健康調査をはじめ多くの調査で明らかにされた限りでは,呼吸器系の疾患と消化器系の疾患がつねに首位をきそっている状況である。いわゆるマイナーディジーズ(minor disease)としてのこれらの疾患は実は多数の原因がからみあい,とくに生活要因のもたらす影響が大きいという点からもただ,疾患の数が多い,少ないといった意味だけではなしに,保健指導や日常診療にとって問題が少くないところである。
しかし,逆にこれらの疾患を疫学として研究対象とするにはその要因のからみあいが複雑であること,要因に対する主体の反応が様々であることなどからいわゆる疫学の連鎖パターンを見出すことが甚だ困難であるがゆえにまだ成功した例を見ない。この小論の表題を疫学としたのはその意味からだけでもはなはだ暴論といわざるをえないのであっていわゆる疫学,もしくは疫学的検討とでも改めるべきかもしれない。それはまた後日論ずるとして本論の中心をいわゆる消化器病一般の中からとくに成人の下痢腸炎において,話をすすめてみよう。
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