特集 下痢腸炎の保健指導
下痢腸炎の基礎知識と保健指導
野田 喜代一
1
1神奈川歯科大
pp.12-16
発行日 1967年6月10日
Published Date 1967/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203945
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下痢というのは,水分が多くて液状かまたはそれに近い便を排泄することをいいます。1日1回の排便でも便の性状が水様であれば下痢といい,1日数回あっても便が固形ならば下痢とはいいません。正常の便通は1日1〜2回で,食後ことに朝食後に腸に大蠕動が起こるとともに便意をもよおし,排便にいたるのがふつうです。健康者の糞便は固形ですが,しばしば排便のはじめは固形で,しだいにまだ水分の吸収が不十分なやわらかい便を排泄して終ることもあります。
さて,大腸の蠕動が異常に亢進して腸内容がすみやかに大腸を通過し,水分の吸収のいとまがないままに直腸にいたり,排泄されるときが下痢の状態です。また下痢は腸粘膜の分泌がいちじるしく増加した場合にもおこります。すなわち,下痢の発生機序はつぎの3つに大きく分類することができます。
A.結腸内水分吸収障害
B.腸蠕動充進
C.腸粘膜分泌機能充進
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